皆さんは、初めてMr.Childrenのライブに行った日のことを覚えていますか?
私にとってのそれは、2015年に開催されたアリーナツアー「Tour 2015 REFLECTION」でした。あの日の感動は、人生のどの瞬間とも違う特別な輝きとして心に残り続けています。
今回は、私のライブ原点であり、聴くたびに「人間の深さ」を考えさせてくれる名曲『fantasy』について、私なりの考察を交えて綴ります!

1. 『fantasy』と『REFLECTION』ツアーの背景
この曲を語る上で外せないのが、当時の異例とも言えるツアーのスタイルです。
普通、ライブツアーといえば「新しいアルバム」を引っ提げて行うもの。しかしこの時は、アルバムが発売される前にツアーが始まるという、ミスチルにとっても前代未聞の挑戦の真っ最中でした。その為ライブ曲の半分は新曲として構成されたセットリストになっていました!
『fantasy』はBMWのCMタイアップ曲としてサビだけはテレビで流れていましたが、フルサイズで聴いたことがある人は会場にほとんどいない状態。
「一体、どんな曲なんだろう?」
そんな期待とソワソワした高揚感が、会場全体の空気を包み込んでいました。
2. スモークの中に浮かぶ4人の影、そして「実在」の衝撃
暗転した会場。これまでのMr.Childrenのライブとは一線を画す、あまりにも凝った、きらびやかで幻想的な演出が始まります。
一番の衝撃は、ステージに立ち込めるスモークの向こう側、強烈なバックライトに照らされてメンバー4人の巨大なシルエット(影)が浮かび上がった瞬間でした。

「僕らは皆 奇跡を待っている……」
桜井さんの生歌が響き渡り、あの壮大なストリングスのイントロが全身を突き抜けたとき、私は心の底からこう思ったんです。
「あ、Mr.Childrenって、本当に実在するんだ……!」
今までCDや画面の向こう側の存在だった彼らが、今、目の前にいる。その事実だけで涙が出そうになるほど感動しました。まだ誰もフルを知らない新曲なのに、「なんて良い歌なんだろう」と一瞬で心を奪われたのを今でも鮮明に覚えています。
3. 考察:「fantasy」はどんな曲なのか
実はこの曲、最初から「ライブの一曲目に歌われること」を想定して作られた曲なのだそうです。それを知って歌詞を読み解くと、1番のフレーズがまったく違う景色として浮かび上がってきます。
「隣の人に気づかれぬように 僕らだけの言葉で話そう 知られちゃマズいたいそうな 話は特にないけれど」
この始まり、まるでライブ会場にいる僕らとミスチルの間だけで「秘密の時間(共有できる空間)を作ろう」と語りかけてくれているように聴こえました。
さらに、それに続くこの歌詞。
「ゴミ箱に捨てたファンタジーを もう一度拾い上げたら 各駅電車をジェットコースターにトランスフォームして 不可能のない旅へ」
私たちが毎日コツコツと過ごしている「各駅停車」のような何気ない日常。
それを一瞬で突破して、ライブという最高の「非現実(ジェットコースター)」へと連れて行ってくれる。
ここを通しで聴いたときの、今から楽しいワクワクが始まるぞ!という高揚感は、本当にたまりません。

4. 考察:綺麗事では終わらせない「迷宮」と、今を生きる努力
しかし、メロディーは明るく王道を走っていくのに、歌詞のメッセージは一筋縄ではいきません。手を差し伸べたかと思いきや、鋭く現実を突きつけてくるのです。
「誰もが孤独じゃなく誰もが不幸じゃなく 誰もが今もよりよく進化してる 例えばそんな願いを自身を皮肉を 道連れにさあ旅立とう」
世間に溢れる綺麗事のような応援歌に対して、「そんな単純なことじゃない」と、私たちが日々生活の中で思うようなリアルな感情をぶつけてきます。

特に、大人になった今の私に突き刺さるのが2番のこの歌詞です。
「ことの裏側すら簡単に 覗けてわかった気になる でも本当は自分のことさえ 把握しきれない なのに何が解ろう?」
ネットやSNSで、いつでも他人の裏側を覗けて「わかった気」になれる現代。でも、本当に相手のことを理解することなんてできるのでしょうか?
私自身、誰かを支えたくて相談に乗る時、よくこの壁にぶつかります。
わかったような顔をして話すと、相手を傷つけたり、イラッとさせてしまったり……。
「相手とどう接すればいいのか」という答えは、今でも私のなかで迷宮入りしたままです。
メロディーは明るいのに、歌詞はどこか捻くれていて、深い問題を考えさせてくれる。
でも、だからこそ良いのです。
この「答えのない迷宮」を考えることによって、人間は自分なりの答えを見つけようと努力していけるのではないでしょうか。
綺麗事だけじゃない。
だからこそ『fantasy』は、今の私たちに一番必要な曲なのだと思うのです。
「僕らは愛し合い幸せを分かち合い 歪で大きな隔たりも超えていける」
人によっては、皮肉でもあるかもしれませんが、こうであると願って、誓って、皮肉りながらもこれからも皆さん自身の「fantasy」へと旅立っていき、懸命に生きていけることを願って、締めくくろうと思います!



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