「一体どんな理想を描いたらいい? どんな希望を抱き進んだらいい?」
毎日、満員電車に揺られ、目の前のタスクや仕事に追われる日々。
必死に生きているはずなのに、ふとした瞬間に「なんでこんな会社のために、自分のやりたいことを犠牲にして我慢しなきゃいけないんだ」と、理不尽さに心が押しつぶされそうになる夜はありませんか?
傷つかないように、あえて心を冷たくして、思考停止(麻痺)させて自分を守る。
そんな大人のリアルな葛藤を、恐ろしいほどの解像度で描き出しているのが、Mr.Childrenの屈指の名曲『HANABI』です。
発売から長い年月が経った今もなお、なぜこの曲は私たちの心を掴んで離さないのでしょうか。
この記事では、日々社会の荒波と戦う筆者が、大名曲『HANABI』の歌詞を徹底的に解剖します。
【楽曲紹介】時代を超えて愛される、Mr.Childrenの金字塔『HANABI』とは?
ここで、今回紐解く『HANABI』という楽曲について、少しだけおさらいしておきましょう。
『HANABI』は、2008年9月3日にMr.Childrenの33枚目のシングルとしてリリースされました。
大ヒットドラマ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』の主題歌として書き下ろされ、その後シリーズの全シーズン、さらには劇場版にいたるまで、作品の歴史とともに常にファンに寄り添い続けてきた、まさに平成から令和を代表する大名曲です。
- リリース: 2008年9月3日
- タイアップ: フジテレビ系ドラマ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』主題歌
- 収録アルバム:SUPERMARKET FANTASY Mr.Children 2005-2010 <macro>等

1. Aメロ どれくらいの値打ちがあるだろう〜
『HANABI』というどこか華やかなタイトルの裏で、曲は私たちの心を容赦なくえぐる、あまりにもリアルで乾いた問いかけから始まります。
どれくらいの値打ちがあるだろう? 僕が今生きているこの世界に すべてが無意味だって思える ちょっと疲れてんのかなぁ 手に入れたものと引き換えにして 切り捨てたいくつもの輝き いちいち憂いていれるほど 平和な世の中じゃないし
自分の生きている世界に、一体どれほどの価値があるのだろう。ふとした瞬間に、自分の日常のすべてが無意味に思えて、胸の奥がからっぽになる日はありませんか?
主人公は、その底知れない絶望に対して「ちょっと疲れてんのかなぁ」と、どこか他人事のように小さく呟きます。それは、自分の心が発している限界のサインから、あえて目を背けようとする現代人のリアルな姿そのものです。
大人になる過程で、私たちは「手に入れたもの」がたくさんあります。生活の安定、社会的な立場、要領よく生きるための器用さ……。けれどその引き換えに、私たちはかつて持っていた純粋な夢や、眩しかった「いくつもの輝き」を、自ら切り捨ててきたのではないでしょうか。
「昔はよかったなんて、いちいち落ち込んでいる暇はない。そんなに甘い世の中じゃないんだから」
そうやって、あえて心を冷たくし、思考停止することで、私たちは傷つく現実から自分を守っているのかもしれません。
「一体どんな理想を描いたらいい?どんな希望を抱き進んだらいい? 答えようもないその問いかけは 日常に葬られていく」
世間は簡単にそう言うけれど、現実に打ちのめされている今の僕には、どんな理想を描けばいいのか、どの方向に進めばいいのかさえ分からない。そんな、暗闇の中で激しく道に迷っているような、行き場のない葛藤がこの2つの問いかけに表れています。
よく私はこう思う時があります。
必死に仕事をしていても、「一体この仕事に何の意味があるんだろう」「なんでこんな会社のために、自分のやりたいことを犠牲にしてまで我慢しなきゃいけないんだ」と、理不尽さに心が押しつぶされそうになる瞬間は、誰にでもありますよね。
自分の大切な輝きや理想が、会社の都合や現実の荒波によって容赦なく潰されていくとき、私たちの心は、どうしようもない「憂鬱」で真っ暗になってしまいます。
そうして、じっくり悩むことさえも、日々の慌ただしいスケジュールの中に無理やり押し込められ、まるで最初から何もなかったかのように「葬られて」いってしまう。悩むことすら諦めざるを得ない、大人のリアルな虚しさと切なさが、この一言に痛いほど凝縮されています。
2 Bメロ 君がいたらなんて言うかな〜
「君がいたらなんというかなぁ 暗いと茶化して笑うのかな その柔らかな笑顔に触れて 僕の憂鬱が吹き飛んだらいいのに」
そんな限界の夜に、ふと頭に浮かぶのが、大切な人の姿です。
「君がいたら、なんて言うかなぁ」
きっと、僕が真面目にウジウジ悩んでいる姿を見て、「また暗い顔して!」って茶化して笑い飛ばしてくれるんじゃないか。
主人公が求めているのは、大それた解決策やアドバイスではありません。
ただ、すべてを優しく包み込んでくれるような「君の柔らかな笑顔」であり、その温もりに触れることで、胸に渦巻く黒い憂鬱をただ吹き飛ばしてほしいと、切に願っているのです。
3【1番サビ】決して捕まえることのできない〜
「決して捕まえることの出来ない 花火のような光だとしたって もう一回もう一回 もう一回もう一回 僕はこの手を伸ばしたい」
暗闇の夜空に一瞬だけきらめいて、決して捕まえることのできないまま消えていく花火。
主人公を救ってくれたはずの「君」は、実はもう隣にはおらず、お別れしてしまった過去の存在(光)なのかもしれません。
「綺麗事なんかじゃ生きていけない。やりたいことも仕事で潰されてしまう。そんな絶望的な現実の中で、もう一度だけでいいから、あの優しい笑顔で僕に寄り添ってほしい」
1回、2回じゃ足りない。何度心が折れそうになっても、届かないと分かっていても、あの温もりに「もう一回」と手を伸ばさずにはいられない大人の切実な執念が、この4回の連呼には込められているのではないでしょうか?
「誰も皆 悲しみを抱いてる だけど素敵な明日を願っている 臆病風に吹かれて 波風が立った世界を どれだけ愛することができるだろう?」
会社に不満を持っていたり、やりきれない現実に耐えていたり、誰もが主人公と同じように、胸の奥に深い悲しみを隠し持っています。
けれど同時に、「明日はいい日になるかもしれない」と、小さな素敵な明日(希望)を捨てきれずに願っている。
世界は美しくなんてない。臆病風が吹き荒れ、理不尽な波風ばかりが立つ、答えのない絶望的な場所です。
そんな「絶望と希望が同時に漂う世界」の真ん中に立ち尽くしながら、主人公は「どうやってこの世界と向き合い、愛していけばいいんだろう」と激しく葛藤しています。
4【2番Aメロ】考えすぎで〜
「考えすぎで言葉に詰まる 自分の不器用さが嫌い でも妙に器用に立ち振る舞う 自分はそれ以上に嫌い」
本当は「こんな理不尽な仕事、やりたくない!」と言いたいのに、あれこれ考えすぎて言葉に詰まってしまう不器用な自分。
それだけでも嫌なのに、社会で波風を立てずに生き残るために、心に嘘をついて「妙に器用に」大人の立ち振る舞いをしてしまう。
自分をよく見せようといいように着飾ったり、本音を隠して引きつった笑顔を作ったりする瞬間、なんとも言えない情けない気持ちになりますよね。
「不器用な自分」よりも、そんな「器用に嘘をついている自分」の方が、何倍も嫌いだという激しい自己嫌悪。全社会人の胃がキリキリするようなリアルが、ここにはあります。
だからこそ、僕は声を大にして言いたいのです。
「できないものは、できない!」と言っていいんだ、と。
人間誰しも、できないことや苦手なことは必ずあります。それは決して恥ずかしいことではありません。
「できない自分」を隠すために器用な大人の仮面を被るくらいなら、ありのままの不器用さを受け入れた方が、よっぽど心が軽くなるはずです。
泣いても笑っても、時は平等に流れる
その「開き直る勇気」を持って次のフレーズを聴くと、歌詞の景色がガラリと変わります。
「笑っていても 泣いて過ごしても 平等に時は流れる 未来が僕らを呼んでる その声は君にも聞こえていますか?」
器用に立ち振る舞って無理に笑っていても、悔しくて部屋で一人で泣いて過ごしていても、平等に時を刻み、明日の朝を連れてきます。
だったら、自分に嘘をついてすり減りながら泣くよりも、「これが自分なんだ」と不器用さを受け入れて、前を向いて笑って過ごした方がいい。
そして最後の「その声は今 君にも聞こえていますか?」という問いかけ。
これは、もう隣にはいなくなってしまった(花火のように消えてしまった)「君」への、主人公の決意表明です。
過去の傷や自己嫌悪を抱きしめたまま、主人公はまた不器用に、けれど確かに一歩を踏み出そうとしています。
5. 【2番サビ】さよならが迎えにくることを〜
「さよならが迎えにくることを 最初からわかっていたとしたって もう一回もう一回 もう一回もう一回 何度でも君に会いたい 巡り会えたことでこんなに 世界が美しく見えるなんて 想像さえもしていない 単純だって笑うかい? 君に心からありがとうを言うよ」
この世界にあるすべての美しいものには、いつか必ず「さよなら(終わり)」が迎えにきます。
「どうせいつか終わるなら、頑張るだけ無駄だ」と心を麻痺させて諦めるのは簡単です。けれど、たとえいつか終わりが来ると分かっていたとしたって、私たちは「もう一回、何度でも君に会いたい」と願ってしまう。
なぜなら、その「君」という大切な人と巡り会えたことで、それまで一人では絶対に見ることのできなかった場所や、眩しいほどに美しい景色を、私たちはたくさん見せてもらったからではないでしょうか。
私自身も、今のパートナーのおかげで、これまでの人生では見えなかった素晴らしい景色をたくさん見させてもらっています。だからこそ、「心からのありがとう」を忘れずにです!
泣いて過ごしても、笑って過ごしても、平等に時は流れていきます。
6【大サビ前】滞らないように〜
「滞らないように揺れて流れて 透き通っていく水のような 心であれたら」
実はこの歌詞、ボーカルの桜井さんがある「悲しい体験」をしたことから生まれたフレーズだということをご存知でしょうか。
当時、桜井さんは自宅で金魚を飼っていたそうです。
水道水に含まれる塩素(カルキ)は金魚にとって猛毒。そのため、事前に水槽に水を張り、中和剤を入れ、丁寧に水をねかせてから金魚を入れました。万全の準備をしたはずでした。
しかし、金魚はだんだんと弱っていき、そのまま死んでしまったのです。
悲しみに暮れながらペットショップのお兄さんに理由を尋ねた桜井さんは、衝撃的な事実を知らされます。
「水はね、絶えず揺れ動いて、新鮮な空気を取り込んで循環させないと、腐って水は死んでしまうんですよ」
水が死んでいくと言うことに驚いた桜井さん。
丁寧に守ろうとして、静かに止めておいた水(カルキ抜きの水)こそが、逆に金魚の命を奪ってしまっていた──。
この切ない経験から、桜井さんは「人間の心も全く同じなのではないか」と気づき、このフレーズが生またそうです。
良いことも、悪いこともあるから、心は透き通っていく。
私たちは生きていると、傷つくような嫌なことや、思い通りにいかない理不尽なことにたくさん出会います。そんな時、「もう傷つきたくない」と心を閉ざし、感情を動かさないように(滞るように)じっと守りに入ってしまいがちです。
けれど、何の変化もない、誰も入ってこない安全な水槽の中の心は、やがて新鮮な空気を失い、どんよりと濁って、自分自身を苦しめるようになってしまいます。
日々の中で起きる、嬉しいこと、楽しいこと。
そして、時には仕事で悔しい思いをしたり、理不尽に涙を流したりすること。
そのすべての出来事が、私たちの心を「揺らし、流してくれる」大切な刺激です。
「傷つくことは、心が生きている証拠なんだ」
そう思えたら、今目の前にある苦しい現実も、少しだけ愛せるような気がしてきませんか?
7【まとめ】
ここまで、Mr.Childrenの『HANABI』、歌詞を、私の実体験とともに紐解いてきました。
私たちはみんな、完璧ではありません。
会社で理不尽な思いをしたり、やりたいことを潰されそうになったりしながら、胸の奥に何かしらの悲しみを抱えて生きています。
けれど、できないことがあったって、未完成のままだって、それは決して恥ずかしいことじゃない。
泣いて過ごしても、笑って過ごしても、平等に時は流れていきますが、泣くことも、笑うことも大事なのではと思います。
そうすることで透き通った水のように澄んだ心になっていきそうな感じがするからです!
人生いいこと嫌なことありますが両者嫌なことがあるからいいことが際立つと思います。嫌なことをどう乗り切るか、時にはどう受け流すか日々勉強しながら進んでいきましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございました!


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